シルビアのいる街で

シルビアのいる街で [DVD]

シルビアのいる街で [DVD]

 子どもの頃に「ドラえもん のびたの創世日記」という映画を見ました。映画もよかったのですが、エンディングで武田鉄矢が「さよならにさよなら」という歌を歌っていて、子どもの頃の私はその曲が大好きでした。「時間は螺旋の階段、さよならさえもつながっていく」というのは、当時の私にはとても印象的だったのです。
 かたや、時間とは何かというのは、それ専門の研究が行われるくらい難しいものらしいです(ベルクソンをかじった程度なので私には何もわかりません)。われわれは西暦2001年12月31日から一瞬にして西暦2002年1月1日へとジャンプする、ということを平然とやってのけているわけですが、その際に西暦がカウントアップして、日付がリセットされるという奇妙さについては全然気になりません。西暦の方は直線で、永久に前に進み続けるのに対して、日付は円環状になっており、永遠にぐるぐると同じ時を進み続けます。
 草木けぶる夏の田舎の風景はまるで永遠に繰り返されるようですが、そこでは何一つ同じものはない、というジレンマが……。
 「シルビアのいる街で」は8年前にバーで一度会っただけの女を探し続ける男を追いかけるだけの映画です。時間を考えさせる映画でした。